2011年 04月 13日
喫煙患者の手術30日後の死亡率 |
今月号のAnesthesiologyが届きました。ぱらぱらとページをめくっていると、喫煙と周術期予後と題した論文が目に入りました。これまでにも喫煙が生体に及ぼす悪影響として、肺炎のリスクが上昇するとか、手術創の治癒が遷延するなどが言われてきました。当院でも2月から病院の敷地内禁煙が実施されていますが、喫煙による具体的な健康被害について患者さんに対して詳細な説明は行われていないように思います。多少、傷の治りが悪くても禁煙しないケースも少なくありません。しかし、この論文では、喫煙患者さんでは30日後の何らかの合併症による死亡確率が非喫煙患者さんよりも1.38倍であったことが報告されています。原因となる合併症としては、肺炎が2.09倍、心筋梗塞が1.8倍、脳卒中が1.73倍だそうです。これらのデータはアメリカからのものですから生活習慣や体格など日本人には当てはまらない部分もありますが、50万件以上の症例から導き出されていますので、結果の信頼性は高いと思います。喫煙者が禁煙をするきっかけになればと思います。
by tdcanesth
| 2011-04-13 17:36
| 全身麻酔